お茶が入りました

古本屋さんで見つけたランディさんの本を読んでいる。

やっぱり、ココロに響く内容が多い。
この本には認知症(本には痴呆と書かれています)老人の心象について書かれているのだが、これがいま現在、わたしが見ている風景そのままである。


::::::::【根を持つこと、翼をもつこと】  田口ランディ 著  より:::::

朝、目が覚める。
すると知らない場所にいる。

ありゃここはどこだろうと思う。

いったい自分はどうしてこんな場所で寝ているのだろうか。
おずおずと起き出してみる。
わからない。
まったく見覚えがない。

狼狽していると知らない女の人がやってきてさも親しげに自分の名前を呼ぶ。
あら、起きたんですか、ご気分はいかがですか。
あんたは誰、と思うが自分がなにもわからないことを悟られるのが恐ろしくとりあえず話を合わせてみる。
ええ、いま目が覚めました。
そうですか、ではお食事になさいますか。
いえいえとんでもありませんそんなご迷惑な、私はそろそろ家に帰らなければならないのでおいとまさせていただきます。
するとその女の人は、まあそう急がないでご飯を召し上がって行ってください、と優しくすすめてくれる。
あまり邪険にしても悪かろうし、一人で帰るのも不安だったのですすめられるままに部屋を出て行くと、食堂がありそこにはたくさんの老人が座っている。

なんだここは、と思う。

おずおず椅子に座るとごはんとみそ汁が出てきた。
おかずもおいしそうで急にお腹がすいてくる。
皆がいただきます、と声を合わせるので自分もそれに合わせて食べ始める。
先ほどの女の人が、おいしいですかと聞いてくるので、おいしいですと答える。

みそ汁はもう少しダシがきいているほうがいいなと思う。

みそ汁のおダシはもうちょっときかせたほうがいいんじゃないの、と言うと、女の人は頷いてわかりました明日からそうします。と、答える。
さっきまでのことはもう忘れている。
とりあえずいまここが安心できるし、ご飯もまずまずおいしいので食べている。
そしてごちそうさまをする。

皆が落ち着いていて淡々と物事が進むのでそれに逆らう気にもなれず、ここに留まっているが、自分の本当の場所はここではないどこか、だと感じている。

・・・・・・・施設で暮らす痴呆老人の心象風景というのはこんな感じではないかと想像する。

:::::::::::::::::::::::::::::



「高齢者を見たら、脱水・不安と思え」と教わったように、水分補給は欠かせません。

温かいお茶、冷たいお茶、ミルクティ、コーヒー、こぶ茶、ココア、いろいろ勧めるのですが、なかなか飲んでいただけない場合も多いです。

「もう一口だけでも飲みましょうか」「ゆっくりでいいですから、飲んでくださいね」

「もうお腹がいっぱい」「もういらない」「美味しくない」



で、今日はランディさんの心象「いまここ」に目を向けて接してみました。


「○○さん、お茶が入りました。どうぞお飲みくださいね。」

「ありがとう。いただきます。」

しばらくして・・・

「○○さん、お茶が入りました。どうぞお飲みくださいね。」

「ありがとう。いただきます。」

また、しばらくして・・・


「○○さん、お茶が入りました。どうぞお飲みくださいね。」

「ありがとう。いただきます。」

またまた、しばらくして・・・・

「○○さん、お茶が入りました。どうぞお飲みくださいね。」

「ありがとう。いただきます。」

・・・・・・・

せっかく入れてくれたお茶だから、口もつけないのは失礼だと思って下さったのでしょうか(^^ゞ
これからも利用者さんが、私たちに合わせて下さっていると思って接してみようと思います。
[PR]

by keisyan | 2010-03-25 20:29 | 介護の仕事