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活性プラシーボ

『わたしが治る12の力』  上野圭一 著 より

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「喜ばせる」を意味するラテン語の「プラセボ」(英語では「プラシーボ」)は、日本の医学用語では「偽薬」と訳され、それをのんだ患者が示す好ましい反応を「プラシーボ反応」といいます。

患者の多様な症状は、真正の錠剤を投与したときだけではなく、乳糖など不活性の物質でできた錠剤を投与しても消えてしまうことがよくみられるので、医師の立場から、真正の錠剤ではないという意味で「偽薬」と訳すのでしょうが、翻訳家からみると、これは素直に「喜薬」と訳してほしかったところです。

処方する立場からすれば「にせもの」かもしれませんが、患者にとっては、それを服用してつらい症状が現実に消えたのですから「ほんもの」であり、ラテン語の原意どおり「喜ばせる」薬であるといえるからです。


    ― 中略 ―


「プラシーボ」は本来、「不活性」の「薬剤に形状が似たもの」の名称ですから、「活性プラシーボ」とは矛盾した表現です。
しかし、望ましい「プラシーボ効果」の誘発を目的にすえたとき、「活性プラシーボ」という概念はひじょうに有効なものに変化します。

    ― 中略 ―

このように治療を「活性プラシーボ」として理解する考え方は、医療においてはひじょうに有効なのですが、残念ながら、日本の医療の現場にかんするかぎり、そう考える治療者は少数派であるといわざるをえません。

たいがいの医師や医学研究者はプラシーボ反応の誘発を促進するどころか、その反応を「厄介なもの」と感じているのが普通です。プラシーボを服用した患者や被験者が肯定的・否定的・折衷的など、じつにさまざまな反応を呈し、線形的な理論では予測がつかないからです。

プラシーボ反応は個人的・内的・恣意的なものであり、単純化したモデルで予測できるものではありません。プラシーボの「薬効」は徹頭徹尾、患者や被験者の心身のつながりのなかにあり、複雑きわまりないその「つながり」が機械論に慣らされた医師たちに「厄介なもの」として映るのでしょう。


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プラシーボを偽薬と訳したところからも、患者の立場にいないところが見て取れますね。

ということで、、、
いつも患者の立場にいるセンセの プラシーボ と cさんの 流行していた治療法
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by keisyan | 2005-12-20 07:50 | 読書